Protein import into peroxisomes occurs through a nuclear pore–like phase

Science, Research Article (2022)
Yuan Gao, Michael L. Skowyra, Peiqiang Feng, & Tom A. Rapoport
Published online: 16 Dec 2022
doi: 10.1126/science.adf3971

https://www.science.org/doi/10.1126/science.adf3971

久しぶりの更新です。以前「Tom A. Rapoport さんはすごいですね。」という投稿をしていますが、またまた、というか、またまたまたまた、というか、今回の論文、えっ?!そんな事が?!って驚いてしまいますね。フォールディングしたままの大きい蛋白が通る事が謎だったペルオキシソームのタンパク質膜透過機構に、これまでの概念をぶっ飛ばすような新説です。

Conclusion に書かれている通り、

“Peroxisomal protein import resembles nuclear transport…. This mechanism explains how folded and oligomeric proteins are imported into peroxisomes and represents a previously unidentified principle by which proteins cross membranes.”

面白い!要チェックですね!

この研究のような、まさに Ground-Breaking な研究を常に目指したいものですね!(M)

Cell biology: Organelle formation from scratch

Nature 542, News & Views
Ewald H. Hettema & Stephen J. Gould

251–254 (09 February 2017) doi:10.1038/nature21496
http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature21496.html

今回の話題は、何といってもこれでしょう。真核細胞のオルガネラのひとつ、ペルオキシソームは、もともと細胞が持っているペルオキシソームが、成長と分裂を繰り返す事で維持されています。ですが、最近、ペルオキシソームが de novo に、つまり新たに、作られうるのでは、と主張する研究者もいます。表題にある「from scratch」というのは、英語で「ゼロから」という意味(なぜ英語では、「scratchから」と言うのかは不思議ですが、それはさておき)。それらの主張では、酵母でも、哺乳類でも、ペルオキシソームが ER 小胞体から生じるという説です。今回、さらに一歩進んで、ペルオキシソムの de novo 合成は、ミトコンドリアから生じた膜ベシクルと、ER 小胞体から生じた膜ベシクルが融合する事から始まる、という興味深い論文を紹介しています。

そして元論文は、同じ号に掲載されたこれです。

Newly born peroxisomes are a hybrid of mitochondrial and ER-derived pre-peroxisomes
Nature 542, 251–254 (09 February 2017)
Alum Sugiura, Sevan Mattie, Julien Prudent & Heidi M. McBride
doi:10.1038/nature21375

http://www.nature.com/nature/journal/v542/n7640/full/nature21375.html

この論文では、ミトコンドリア外膜に(ミス)ターゲットされて局在してしまったペルオキシソームのPEX蛋白質輸送装置のimportレセプターである Pex3とPex4、それと、ER 小胞体から生じる膜ベシクルに乗ってくるPEXの必須コンポーネント Pex16 が、二つの膜ベシクルの融合により、機能しうる PEX 蛋白質輸送装置を構成して、それにより、どんどんペルオキシソーム蛋白質が運ばれるようになって。。。面白いですね。ただ、

最初の紹介文、この発見を大変面白い!と紹介しつつも、やはり、多くの疑問が残されていると書いていますね。ひとつは、そのような de novo ペルオキシソーム合成には、何日もかかっているように見える点。今回は、ペルオキシソーム形成不全の変異体を用いているので、そのような非常に遅いものが見えるのですが、実際に、ペルオキシソームがある状況では、そのようなde novo による合成は、ほとんどペルオキシソームの形成に寄与していないのではないか。。。 という主張ですね。もうひとつは、酵母では、そのような現象は見られていないのでは、という主張です。

いずれにせよ、これからの成り行きが楽しみですね。

(M)

(Nature News & Views: Cell biology: Organelle formation from scratch. By Ewald H. Hettema & Stephen J. Gould より)