オープンラボ:大学院入学希望者(修士/博士)を対象に !

「大阪大学理学研究科生物科学専攻大学院生を募集中!」

 中井准教授グループは、大阪大学蛋白質研究所の蛋白質化学研究部門に属し、葉緑体に代表されるプラスチドと呼ばれる植物や藻類に特有の細胞内小器官―オルガネラ―で働くタンパク質の機能と生合成を中心に、「植物分子細胞生物学」から「植物生理学」「蛋白質化学」や「構造生物学」など様々な角度から、国内外の多くのグループと協同して多面的な研究を展開しています。最近、私たちの研究に大きなブレークスルーがあり、その研究成果は世界的に注目を集めています。

私たちの研究に参加しませんか?

 研究に参画してくれる学部4回生・大学院生・ポスドクを募集しています。興味ある方は、是非、研究室見学にお越し下さい。
現在 大阪大学理学研究科生物科学専攻博士前期および後期課程(10月入学)大学院生を募集中です。
オープンラボ 平成29年4月17日(月), 5月29日(月)
理学部生物学科4回生の方も歓迎します。

詳細は

http://www.protein.osaka-u.ac.jp/enzymology/inquiryJ.html

までお問い合わせください!

蛋白質研究所セミナー:真核細胞のオルガネラ研究最前 線

事後報告になりますが、先週の3月21日22日に

大阪大学 蛋白質研究所セミナー
「真核細胞のオルガネラ研究最前線」

を主催し、無事に終了しました。オーガナイザーには、新学術領域「マトリョーシカ型進化原理」でお世話になった、稲垣 祐司(筑波大学 計算科学研究センター)と、野崎 智義(国立感染症研究所 寄生動物部)に加わっていただきました。ミトコンドリアや核、葉緑体、膜輸送のホットの話題から、真核細胞の進化に迫るご講演まで、また蛋白研クライオ電顕のご紹介もあり、とても有意義なセミナーとなったと思います。ご講演者の先生方、オーガナイザーの先生方、ご参加いただいた皆さんに感謝します。

このLablogでも度々紹介していますが、オルガネラバイオロジーは、新しい知見、新しい発見、新しい考え方、が続々と Nature や Science といったトップジャーナルを賑わす分野。これからも、当研究室では、葉緑体の話題を筆頭に、オルガネラバイオロジー研究の、国内外での情報を発信し、研究者ネットワーク形成を推進していきます。次回のセミナーも乞うご期待!(M)

http://www.protein.osaka-u.ac.jp/enzymology/images/IPRSeminar_20170321_22.pdf

Science Special Issue: SYNTHETIC YEAST GENOME

Introduction to special issue Building on nature’s design #Science #yeast #genome #organelle
Laura M. Zahn, Guy Riddihough 
Science 10 Mar 2017: Vol. 355, Issue 6329, pp. 1038-1039 DOI: 10.1126/science.355.6329.1038

いやはや。。すごい時代です。今週の Science の最新号は、染色体丸ごと合成してしまうゲノム工学の特集号。上の特集号の紹介文に書かれているように、出芽酵母のおよそ1200万塩基対の 全ゲノム配列が解読されたのが1996年の事。これは大きなブレークスルーだったのですが、その16に分かれている酵母の染色体の全合成プロジェクト Sc2.0 が世界規模で進められているようです(日本は入っているのかな〜?)。繰り返し配列などを除いて8%縮小して 1100万塩基対の染色体をデザインしているとか。今回はそのうち5本の染色体の全合成の報告です。特集号の表紙は、最初、何かと思いましたが、なるほど酵母染色体のモデル。染色体丸ごと合成してやれば、染色体のコンパクトな折りたたみや、核内での挙動を、全体として操作する事も可能に。。。いやはや すごい時代です。Science は やっぱりインパクトのある論文を載せますね!

http://science.sciencemag.org/content/355/6329/1038 

NEW Symposium => CHLOROPLAST METABOLISM and PHOTOSYNTHESIS

26-28 June 2017 – University of Neuchâtel

Objectives:

PhD students and researchers will receive insight into the latest developments in chloroplast biogenesis and function including photosynthesis, regulation and metabolism. Flash presentations, journal clubs and poster sessions will provide ample opportunity for participation of PhD students and scientists.

More information and online registration: https://www.unine.ch/dp-biol/home/program/courses2017/chloroplast2017.html

6月にスイスのヌーシャテル大学で開催される葉緑体関連の国際シンポジウムに招待されました。錚々たるメンバーですね。あっ!所属から Institute for Protein Research が抜け落ちている。まぁいいでしょう。今から緊張してしまいますが、とても楽しみですね!(M)

Organisers: Felix Kessler (University of Neuchâtel), Michel Goldschmidt-Clermont (University of Geneva), Stefan Hörtensteiner (University of Zurich), Jean-David Rochaix (University of Geneva), Diana Santelia (University of Zurich), Sam Zeeman (ETH Zürich)

Speakers:

flyer_chloroplast.pdf

Biologists propose to sequence the DNA of all life on Earth

Science, News, ScienceInsider
Elizabeth Pennisi
DOI: 10.1126/science.aal0824
Published online 24 February 2017

http://www.sciencemag.org/news/2017/02/biologists-propose-sequence-dna-all-life-earth

近年の塩基配列決定、つまりDNAシークエンシングの技術の進歩は、まぁ。。。なんと目覚ましい。。。というか、凄まじい、ですね!

このサイエンスのウェブサイトに掲載されたニュース記事には、「50万人の個人の塩基配列の解明をUK Biobank は約束した。」だの、「全人類のゲノム情報を解読する。」だの、そして、ついには、表題の「地球上の全生命のゲノム情報の解読」まで、なんとまぁ、びっくりするような文言が並んでいます。

技術革新の恩恵は、解読の速さだけではありません。カリフォルニアのベンチャー企業が言うように「ひとつの真核生物の全ゲノム情報なら、1年以内に100ドルぽっちで、できるようになります。」!!!

それはすごい。まぁ そのゲノム情報をどう使い、何をするかが大事ですが、そんなに安価に情報が得られるなら、調べてみたい生物は、私たちの研究の場合は特に藻類や植物ですが、山ほどありますね。でも、20種類調べても、20万円ちょっと!! そりゃすごい!!! すごい時代に突入しました。(M)

(Can biologists sequence the genomes of all the plants and the animals in the world, including this greater bird of paradise in Indonesia? By TIM LAMAN/National Geographic Creative より)

Cell biology: Sort and destroy

Nature, News & Views
Agnieszka Chacinska
doi:10.1038/nature21892
Published online 01 March 2017

http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature21892.html

最近、Nature にオルガネラ関連の論文が多く掲載されていると感じるのは私だけでしょうか。今回の話題も、真核細胞のオルガネラのひとつ、ミトコンドリアが舞台。そんな事を細胞はオルガネラを使ってしているのか。。。とまさに常識を覆す発見です。表題は、昨秋、新生鎖の国際会議にも来日した Agnieszka Chacinska の紹介文。「仕分けて壊せ」まぁそんな感じでしょうか。元論文は、同じ号に掲載されるこれです。

Cytosolic proteostasis through importing of misfolded proteins into mitochondria
Nature (2017) doi:10.1038/nature21695, Published online 01 March.
inhao Ruan, Chuankai Zhou, Erli Jin, Andrei Kucharavy, Ying Zhang, Zhihui Wen, Laurence Florens & Rong Li

http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature21695.html

酵母では、熱ストレスや加齢(?)により生じた蛋白質の凝集は主に母細胞(娘細胞ではなくて)に、そしてその一部はミトコンドリアに集められる事が知られています。細胞質ゾルの熱ショック蛋白である Hsp104 は、蛋白質凝集をほどく “disaggregase” として働き、リフォールディングもしくは分解を助けています。今回の驚くべき発見は、ストレス条件下、そのような凝集しやすい蛋白質がミトコンドリアへと運ばれて、ミトコンドリア内のマトリックスに存在する Pim1 という酵素により分解されているというのです。そして、そのような現象は、ストレス条件でなくても、起きている。酵母だけでなくてヒトの細胞でも起きている。とのこと。一番不思議なのは、分解される蛋白は、ミトコンドリア蛋白質ではない、つまり、ミトコンドリアへ仕分けられるためのシグナル配列であるプレ配列を持たないのに、通常のミトコンドリア蛋白質が内部に輸送されていくために使う TOM および TIM のトランスロコンを使って、ミトコンドリア内へと運ばれているという事。どうやって、分解すべき蛋白質のみを認識して運んで分解しているんでしょう? 今後の展開が楽しみです。ちなみに筆者らは、この mitochondria-mediated proteostasis mechanism を MAGIC と名付けています。”Mitochondria As Guardian In Cytosol” 「ミトコンドリアは細胞質ゾルの保護者(管理者)」だとか、苦労して、というか嬉しくて頭を悩ましながら考えたんでしょうね。

いずれにしても、今回の発見も「観察の領域において、偶然は構えのある心にしか恵まれない。」の典型だったのかもしれませんね。(M)

Disposal of aggregating proteins by mitochondria.

(Nature News & Views: Cell biology: Sort and destroy. By Agnieszka Chacinska より)

Reconstitution of the tubular endoplasmic reticulum network with purified components

Nature, Letter (2017)
Robert E. Powers, Songyu Wang, Tina Y. Liu & Tom A. Rapoport
Published online: 22 February 2017
doi:10.1038/nature21387

http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature21387.html

それにしても Tom A. Rapoport さんはすごいですね。トランスロコンの仕事といい、今回の仕事といい、本当にノーベル賞、いつもらってもおかしくない人だといつも思います。学会で会うと何かと励ましてくれるのですが、それに応えたいところですね。。。。 それはともかく、今回の論文、えっ?!そんな事がそんなに簡単に再構成できてしまうの?!って驚いてしまいますね。

小胞体 endoplasmic reticulum は多様な膜構造を示し、多様な膜ドメインを形成しています。中でも、連結されたチューブからなる網目状の膜ネットワークがどのように形成されているのか、不思議です。今回、酵母由来の膜融合に関わるGTPaseであるSey1p蛋白質と膜のカーブチャー(湾曲)を安定化するYop1pを含むプロテオリポソームを作って GTP を加えると。。。あら不思議!?チューブ構造によるネットワーク形成が見られ。。。そしてGTP-gammaS を加えて GTPase 活性を阻害すると、形成は見られなくなると。つまり継続的な膜融合と膜カーブチャー安定化がそのようなチューブ状膜ネットワークの形成を支えていると解釈できます。Yop1p以外の膜カーブチャー安定化を使っても同じ事が。そして、脊椎動物由来のSey1pは、それだけで、GTPase による膜融合と膜カーブチャー安定化の機能を併せ持つとの事。

アブストラクトの最後に書かれている通り、本当に、

“organelle shape can be generated by a surprisingly small set of proteins and represents an energy-dependent steady state between formation and disassembly.”

を実感させるデータですね!面白い!(M)